田伝むしの農作業

農薬不使用ササニシキができるまで【田植え】

 5月20日頃、毎年この時期に田伝むしの田植えは始まります。この時期に田植えをすることがササニシキの質を良くすることにつながるからです。

 ササニシキが冷害とそれに伴ういもち病に弱いということはよく知られていますが、実は暑すぎることにも弱く、穂が出てから籾にデンプンが蓄えられる時期に高温に当たるとお米の粒が白くなる乳白米が多くなってしまいます。
 お盆以降は夏の暑さが落ち着くので、穂が出る時期がお盆頃になるようにということで田植えの時期を5月20頃スタートにしているのです。

10339316_296969433796122_4955993130559001614_o  田植えをするときに気をつけているのは、根張りの良い苗を選ぶこと、植え付ける本数を多くし過ぎないこと、疎植で植えることです。
 根を意識して育苗していても根張りの良いものとそうでないものが出てきます。全ての苗を使うわけでは無く、育てた苗から根張りの良いものを優先して使うようにしています。根張りが良いと田んぼに移ってからの根付きが早くて良いスタートが切れますし、稲をつまんでも簡単に抜けないくらい根を張ってくれると除草作業も早く始められるからです。

13267946_595697400589989_6005302904926196657_n  田植機では植え付け本数と栽植密度を調整して稲を植えることができ、ここでも農薬・化学肥料不使用栽培ならではの工夫をしています。
 植え付け本数は1箇所に植える本数のことで、植え付け本数が多いと大きくなったとき茎の数は多くなりますが1本1本の茎が細くなり、逆に1箇所に1本だけというように植え付け本数が少ないと茎の1本1本が太く立派に育ちます。
 化学肥料を使うと1株に30~40本ほどに茎の数を多くすることができますが、その中には穂を付けない茎もあります。田伝むしで行っている農薬・化学肥料不使用栽培および無肥料自然栽培では茎の数は1株20本前後になりますが、ほぼ全てで穂が出て、しかも穂の長さが長く籾の粒が大きくなります。田伝むしでは植え付け本数2,3本を目安にしています。稲1株1株が丈夫になることは病気や害虫の被害を予防・軽減することにもつながるという考えです。

 栽植密度は一定の面積に何株(何カ所)稲を植えるかという植える密度のことで、密度が濃い植え方を密植、薄い植え方を疎植と呼びます。田伝むしでは1坪当たり42~50株の疎植で植えています。このように植えるのも1株1株の稲の根張りが良くなって栄養を多く吸収できるように、そして茎が1本1本太く丈夫に育つようにという考えのもと行っています。

13221175_592929207533475_1337880266429580896_o  田植えと同時に米糠ペレットの撒布もしています。米糠ペレットは精米で出た米糠を水と混ぜてペレット状(粒状)に押し固めたもので、田んぼに撒くと分解発酵して雑草の発生を抑えると言われています。
 5月下旬の温度では雑草の芽も動きだし、特に田んぼの地面が高いところでは草が生えやすくなっています。そういった場所を狙って集中的に米糠を散布することで草の発生を少しでも減らしたり遅らせたりしようとしています。

 田植えは6月上旬まで続きますが、最初に田植えを行った田んぼでは並行して除草作業もスタートします。田植えが終わるといよいよ農薬不使用栽培で最も大事な作業「除草作業」に本腰を入れて取り組みます。

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2017-01-24 | Posted in 田伝むしの農作業No Comments » 

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